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2013年3月7日木曜日

北朝鮮報道、スクープと誤報

北朝鮮専門メディアはインターネットメディアで、職員が10~20人内外の小規模ながら、新聞や放送などの大手メディアに先駆け、北朝鮮内部の情報を伝えることに長けているといいます。

北朝鮮で「貨幣改革」が行われた際も、北朝鮮専門メディアの「デイリーNK」は、北朝鮮当局が貨幣改革を断行した2009年11月30日、複数の北朝鮮内部消息筋を引用し、この事実を報道しました。

韓国の統一部と情報当局は、この情報は確認されていないとし、大手メディアも報じなかったものの、聯合ニュース中国特派員が貿易商を通じて貨幣改革の事実を確認すると、新聞や放送は先を争って北朝鮮の「貨幣改革」を伝えました。

北朝鮮専門メディアは北朝鮮内部に通信員をおき、中国産携帯電話を利用をして取材した内容を中国現地特派員に送稿。特派員が本社に送る方式で記事を書いているようです。

ただし、「大部分は北朝鮮内部の消息筋の話を根拠に書いた記事で事実確認が不可能」で、「特ダネの時もあるが、大きい誤報をしたりも」すると、2011年2月12日の放送でKBSは指摘していました(動画)。以下はKBSが指摘している内容です。

去る2009年には北朝鮮専門媒体がキム・ジョンウンに対する後継者推薦作業を中断したと報道したが、キム・ジョンウンの権力世襲が公になると誤報だということが明らかになりました。

昨年9月初めに予定された党代表者会が延期になった際も、あらゆる憶測の報道が乱舞しました。

特に金正日委員長が訪中直後、脳卒中の後遺症で呼吸困難を起こし、党代表者会が延期になったという北朝鮮専門メディアの報道は大きく注目をあびました。

しかし情報当局は、金委員長の健康異常説は事実無根だと明らかにし、一週間後、金委員長は元気な姿で党代表者会に現れました。
北朝鮮報道に関する誤報は北朝鮮専門メディアだけではありません。日本のメディアでもよくみられます。古くは1974年11月19日付の統一日報が、東京で開かれた国際会議の随員として、金正日(当時の漢字表記は金正一)が「ひそかに来日」したと報じた記事がそれです。

統一日報が東京で撮影したリ・ジョンヒョク氏の写真を「金正一」であると主張。毎日新聞も同日付2面で「十月にIPU総会に随員で、金日成主席の長男来日か?」という見出しの新亜通信の配信記事を掲載しました。これに対し、共同通信が朝鮮総連の関係者経由で入手した金正日の写真を根拠に、統一日報に掲載された写真は別人だとする見解を示したことがあります。

それに対し、統一日報側は27日付の紙面で、「金正一来日 厳然たる事実/「共同」否定報道こそ偽り/同社入手“金”写真は合成もの」と反論するも、のちに共同通信が配信した写真が本物の金正日で、統一日報の掲載した写真は別人のものだったことがわかりました。


最近では2010年4月20日付の毎日新聞(キャプチャー上、毎日jpより)が、金正日の三男正銀(=正恩?=ジョンウン)氏の近影だという写真を公開したのですが、韓国メディアは写真の人物が金策製鉄所のキム・グァンナム技師長であり、毎日新聞の報道は誤報である指摘しました。

毎日新聞はJ-CASTの取材に対し、坂東賢治外信部長が「記事は十分な取材に基づいており、内容は事実と確信しています」との談話を明らかにしたものの、2010年9月30日、キム・ジョンウンの写真と映像が公開されると、毎日新聞は東京歯科大の教授に鑑定を依頼し、写真の顔の骨格から2010年4月20日付の毎日新聞が掲載した金正日の「三男正銀」氏の近影が正恩氏ではないことがわかったとし、キム・ジョンウンの写真は別人でしたと訂正しています。


2010年3月5日に放送された金正日が金策製鉄所を視察する写真を紹介した朝鮮中央テレビの映像。毎日新聞が金正日の「三男正銀」だとするの写真が1分15秒過ぎ・2分55秒過ぎ・3分20秒過ぎ・3分40秒過ぎ・3分50秒過ぎあたりにでてきます。

また、今月4日に報じられた北朝鮮がミサイルを実戦配備しているとの報道でも、ミサイルの数が1000基(VOA、日経ほか)、2000基(聯合ニュースほか)など、報道の内容にバラつきがみられました。