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2013年1月20日日曜日

映画「パッチギ!」にでてくる法政二高の事件について


映画「パッチギ!」には「神奈川朝高のソンベ(선배=先輩)も法政二高に殺されてるしのう」という台詞がでてきます。

(キャプチャーは映画「パッチギ!」の韓国語字幕版より)

これは1962年11月3日、神奈川県川崎市にある法政二高の文化祭で、神奈川朝鮮高の男子生徒が法政二高の射撃部の生徒にエアライフルで殴られ、「殺された」事件のことを言っているようです。

この事件ですが、朝鮮総連界隈の話と新聞記事・国会会議録の記録に食い違いがみられます。


(キャプチャーは「キーワード-パッチギ!」より)

朝鮮新報の「在日の歴史、なんでもQ&A 朝高生暴行事件とは」では
また前年の11月には、神奈川朝高1年生の辛永哲君とその同級生が法政大学第二高等学校の「二高祭」を見に行き、射撃部の展示室で展示品を見ていたところ、エアライフル銃を持った同校2年生Fにより背後から頭部を銃床で乱打され、辛君が頭蓋骨骨折脳挫傷により死亡するという事件もおきています。
センツァ・フィーネによると、11月3日に神奈川朝鮮高の男子生徒2名が法政二高に「招待」され、法政二高の生徒と「ちょっとした諍いから」けんかになり、死亡したということです。

しかし、神奈川新聞の1962年11月6日付7面に掲載された記事には、事件の加害者である法政二高の生徒は、射撃場に練習で通っているときに数回にわたり被害者の朝鮮高生におどされており、この日も死亡した朝鮮高生が法政二高の文化祭に加害者を「おどしにきていたとみられる」という記述があります。

また、加害者といっしょに教室(1階115教室)にいた別の法政二高生からも、朝鮮高生の被害者は150円をおどし取ったとも書かれています。その後、被害者が加害者をもおどそうとし、胸ぐらを掴むなどしたため、加害者が被害者を銃で殴り死亡させたと記事にはあります。

翌年6月13日の衆院法務委員会の会議録には以下のような記録があります。
○猪俣委員 次に、これも私はしばしば陳情を受けておるわけでありますが、近来朝鮮の中高級学校の生徒に対して、日本のやはり中高等学校の生徒が乱暴をするという幾多の事例がここに上申されているわけであります。最もはなはだしいのは、これは昨年でありますか、法政の第二高等学校、ここに何かの文化祭があって、朝鮮高校に招待がきたので、その招待に応じて行っておりました辛英哲という朝鮮高校の生徒が、どういうはずみか、法政第二高校の生徒に、文化祭の校内に陳列してありました銃の銃床でもって頭をたたかれて、三時間後即死してしもうたという事件が起こった。問題は、これがどう扱われたかと申しますと、この加害者藤田という人間は、一応法政第二高等学校は退学したそうでありますが、現在日本大学に入学しておる。
(中略)
○大津政府委員 ただいま猪俣先生から御質問のありました法政二高の関係の事件、これは神奈川県の事件でございます。発生いたしましたのが昨年の十一月三日の午後三時二十分ころでございまして、場所は川崎市の法政第二高等学校の教室でございます。加害者は、いまお話がございましたが、法政二高の当時三年生の某という少年でございまして、被害者はいまお話のありました少年でございます。事案はちょうど十一月二日から三日にわたりまして法政二高の文化祭が行なわれておりましたが、その際、辛少年がまいっておりまして、法政二高の二年生のある少年に、金を貸せというようなことで恐喝を行なっているところをこの某という少年が発見をいたしまして、一度は教室の外へ追ったのでございますが、再び教室に入って、今度は某少年にいろいろまた因縁をつけておどしにがかったというようなことから、この某少年が、展示してありましたエアライフル銃の柄で相手の少年を二回頭を殴打した。このため東横病院に収容されましたが、十一月四日の八時ごろ死亡したという事件でございます。この少年につきましては、傷害致死事件といたしまして捜査の上十一月十五日に書類を送致しておりまして、家庭裁判所におきましては刑事相当処分といたしまして横浜地検に逆送をしてきておる、こういう状況でございます。
事件の発生時刻については神奈川新聞では3日午後2次40分ごろ、衆院会議録では午後3時20分ころとなっているなど、神奈川新聞と衆院会議録でも内容に違う点がみられます。

被害者の死亡時刻については、衆院会議録は「三時間後即死」(原文ママ)・「四日の八時ごろ」との記録が、「キーワード-パッチギ!」には「5日未明死亡した」とありました。

神奈川新聞の記事には、加害者は「カッとなると乱暴になり、以前にも先生をなぐって退学させられそうになったことがある」ということも書かれていました。

センツァ・フィーネによると、神奈川朝鮮高では2006年の文化祭で、この事件を題材にした演劇をおこない、朝鮮高校生の役は法政二高の生徒ではなく県立横浜翠嵐高の生徒が演じ、日本人高校生の役を神奈川朝鮮高の生徒が演じたということです。

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2013年2月22日に法政大学(市ヶ谷キャンパス)でおこなわれた<法政二高「11・3事件」をいま考える>のリポートはこちらです。