韓国人とベトナム人の混血である「ライタイハン(ベトナム韓国人2世)」に関して、ことさらにベトナム戦争当時に派遣された韓国兵と結びつける向きがあります。ZAKZAKに掲載された<【暗躍列島を追う】韓国“性産業輸出”驚きの実態… 売春婦「世界に10万人」>でも大高未貴氏が
韓国がベトナム戦争に参戦した際、韓国人兵士と現地のベトナム人女性の間に生まれた子供「ライタイハン」は1万人とも3万人ともいわれる。「敵国の子供」として激しい差別を受けているが、韓国政府はほぼ棚上げしたまま。反日慰安婦プロパガンダより、こちらの問題解決の方がはるかに人道的ではないのか。と書いていますが、1990年代にベトナムの「サイゴン(ホーチミン市)」で在越韓国人に聞いたところ、「ライタイハン」の多くはベトナム戦争当時に韓国から働きに来ていた民間人の韓国人男性とベトナム人女性のあいだにできたケースがほとんどだと言っていました。
派越韓国軍部隊の兵士の軍務期間は1年で、ベトコンの出没する地帯でなくとも当然に自由な外出は許されず、現地妻を持つことは困難だったといいます。兵士はせいぜいが休日に「コンカイハウス」という風俗店にでかけるくらいだったとか。
ただし兵士のなかには、現地で除隊し、民間人の身分でベトナムに残って「ライタイハン」の父親になった人がいた可能性があるとは思います。
野村進著「コリアン世界の旅」(講談社)にも
「この子たちの父親の九〇パーセントは、韓国人のビジネスマンなんです。兵隊として来ていた人の子供は、そんなにいないんですよ」との記述があります。
完全に誤解していた。韓越混血児のほとんどは、韓国人兵士とベトナム人女性とのあいだに生まれたものと思い込んでいたのである。そうではなくて、ベトナム戦争中に技術者や労働者として南ベトナムに来ていた韓国人男性が、ベトナム人女性とのあいだに子供をもうけ、そのまま母子を置き去りにして帰国してしまった例が圧倒的に多いという。
日本では左派が在日コリアンや日本軍慰安婦と強制連行をことさらに結びつけようとしていましたが、右派でも同じ類の手法を取る人がいるようです。
「ライタイハン」に関して「サイゴン」のベトナム人はというと、存在は知っていても「顔が同じなのでわからない」とか、「同じベトナム人でもチャム(ベトナムの少数民族)のほうがわかる」といった具合でした。「ライタイハン」の問題は、ベトナムにおいては、社会的な関心の的にはなっていないということなのでしょう。
また「ライタイハン」の数に関して、室谷克実氏は自著の「悪韓論」(新潮新書)では
ベトナム戦争に参戦した韓国人軍人・軍属と現地のベトナム人女性の間に生まれた子供をライタイハンという。ライはベトナム語で雑種の意味。タイハンは大韓のベトナム語読み。父親に逃げられたライタイハンは1万人とも3万人ともいわれる。一方、同じ室谷氏が書いたZAKZAK<【韓国の真実】韓国人がベトナムに残した悲劇 鉄面皮の歴代大統領たち>では
《ライダイハン》の父親は、大部分が建設会社などから派遣された軍属と思われる。彼らは現地妻が妊娠するや、国技の「逃亡」を決め込んだのだ。《ライダイハン》は3000人とも1万人ともされる。「敵国の子供」として激しい差別を受けてきた。となっています。「ライタイハンは1万人とも3万人」「《ライダイハン》は3000人とも1万人」というのは、おそらくは韓国紙あたりから引っぱってきた数字なのでしょうけれども、これでは時計屋の時計のごとくで、どちらが本当なのかという有様です。
ハンギョレ21(1999年05月20日第258号)によると、ベトナムで1991年に「ライタイハン」のための職業訓練校を設立したキム・ヨングァン牧師が把握している人数は1500人で、「いくら多くても3000人は越えない」と語っているとのこと。
キム牧師によると、「具体的な資料もなく、1万5千から3万人ほどだと誇張」した数字をだしているのは、キム牧師の手法をまねて、「ライタイハン」のための募金を募る団体だとか。そんなデタラメな数字を、韓国メディア経由で日本人ジャーナリストが紹介しているのです。これも南京事件の被害者や日本軍慰安婦の数をやたらと大きい数字にしたがる人たちの心理と同じなのでしょうか。